第3回 『愚者のエンドロール Why didn't she ask EBA?』

やるやる詐欺して、第2回を「氷菓」追加記事で意気消沈してしまった読者の方々スイマセンでした。今回こそは「愚者のエンドロール」↓を書きますので、ご了承を。

1、日常ミステリーなのでしょうか?

今回の話は前回とは打って変わった話。
簡単な粗筋を書くと、古典部は2年F組(6組もあるのか)の入須冬実に呼ばれて、視聴覚室で2年F組が製作したと言うミステリアニメを見る。ラストでは、ほぼ密室となった部屋に腕の切り取られた死体があった……

う〜ん。日常ミステリー(便宜上ミステリーで)からはすこしかけ離れた話のようです

2、暑い夏の話

小見出しの題名に悩んでしまいます。どーでもいいですが。
ようやく推理らしい推理が始まります。自分も推理を楽しむ訳ですが。
いかんせん、犯人は70ページあたりでわかってしまいました。
その事は、後の章で語るとして、愚者〜篇は夏休みの話です。それも終わりのほうの。
ちょうどこの日あたりでえる達は呼ばれたのでしょう。暑いのによく行くと思います
ね。いや、部活だから仕方のないことか……

3、残念ながら

私、叙述トリックのほうには詳しく、この映画のトリックも『叙述』か……と落胆しました。なんせ、主人公奉太郎がホームズ役(氷菓の時もです)で、その奉太郎の推理と完全一致だったわけですから。
確信しました。これは、勝ちだと。
しかし、残念ながら……

4、小話

愚者のエンドロール角川スニーカー文庫で2002年8月1日(どうやら、角川文庫の発売日は発行日の前日らしい)発行。
初版本では、あとがき(254ページ)の『我孫子』が『安孫子』と誤字になっていたようです。
こちらも氷菓と同様絶版も同然になっていたそうですが、『さよなら妖精』(2004年発表)の高評価によって再び出版されるようになったようで。

5、裏切られた!!!

裏切られた!
自分はそう叫びそうになりました。病院の待合室で叫べるはずもありませんが。
十戒も二十則も九命題も、守ったはずよ」(56ページ)
とあるダイアリーからの拝借です。
これは入須氏が言った言葉なのですが、九命題はミステリファンでもあまり聞かない言葉です。事実、十戒、二十則を知っている自分でも九命題は知りませんでした。
3つのミステリの謳い文句に共通していること。
それは、
「作者は読者に対してフェアプレイをしなければならない」
つまり、読者に対して伏線、証拠を予め提示しなければならない、ということでしょうか。
自分が言いたいこと、それは
「果たして、叙述トリックがフェアプレイなのか?」
です。

6、叙述トリックが計られる

難しい事です。どんでん返しで叙述トリックは使われています。
私が思い当たる人物と言えば、というより有名どころでは
綾辻行人
が当てはまりますね。館シリーズでお馴染みの。
……
脱線してます話が(笑)
叙述トリックがフェアプレイかと聞かれたら……

No

ですかね。やはり。
実に残念でした。私の負け、そして折木奉太郎の負けです。

7、羽場め……!

結局、トリックは羽場案が一番近かった訳で。
彼には負けたくなかったので悔しい。

8、ちょっと待てよ?

いや、あのトリックでも十分フェアプレイじゃないか?
邪念が頭をよぎりますがいかんせん、物語の途中で一々「補足」となるザイルがネックでしたね。
あまりに存在が小さくて忘れていましたorz

9、里志ちょっとこい

「あの映画の中には、どこにもザイルが出てこなかったわよ」(p.213)
このあとちょっと奉太郎が反論しますがねじ伏せられます。(p.214,215)

一方、データで奉太郎を負かそうとする里志。
映画脚本を担当した本郷氏はシャーロック・ホームズを読んで勉強した事から、
叙述トリックは、ドイルの時代には存在しない」(p.219)
は?
ちょっと驚きです。確かにそうだけど……
叙述トリックはシロとは考えられないでしょう?」
映像から鑑みて実行しようとすると案外叙述トリックに行ってしまう場合があるのです。特に素人では。
本郷がホームズだけで勉強した。
鵜呑みにしていいのでしょうか?
以前に漫画などで叙述トリックと出会った可能性だってあるのに……
人の心は汲み取れないデータベースの欠陥です。

10、こりごりになってきました

ここまでヒロイン、準ヒロイン、準ヒーローにフルボッコされると、奉太郎同様読んでてイライラしてきました。
そして、最後は
「被害者は死んでいない」
あああああああああああああああああああああああああ
予想外。
奇想天外。
急転直下来ましたショック。
そこまで行きますか。
本郷の真意は人の死ぬ話は作りたくなかった。
これだから密室は……

とある名探偵Tと同様に密室が嫌いになる自分でした。

11、254ページで喜怒哀楽

楽→喜→怒→哀の順です。
読んでて疲れました。
ガックシです。

12、オマージュ作品のようで

『毒入りチョコレート事件』のオマージュ作品と作者は後書に記しています。(254ページ)『毒入りチョコレート事件』ほしい本リストに入れときます。

13、お馴染み英題

『Why didn't she ask EBA?』
和訳すると、なぜ彼女は江波に尋ねなかったのか?
確かに。
親友の本郷からトリックくらい教えてもらっているでしょう。
……というのは、序盤論で、後半になると……

続きは『愚者のエンドロール』を買ってください。
毎度毎度すいません。既に結構ネタバレしているんですが。
560円(Tax in)です。
第4回はクドリャフカの順番の2章、『限りなく積まれた例のあれ』までをレビューしたいと思います。なお、『クドリャフカ』は、3回に分けて書こうと思います。
なんせ、『クドリャフカ』まだ読み終わってませんから。(3章途中までです)
今回があまりにも長すぎたので(笑)執筆に60分以上はかかってます。
雷雨がひどくなってきました。
私がこれを書いている場所が館だと殺人事件でも起こりそうです。
ではっ。これにて。
疲れた。
8月14日16時26分追記。
私が持っているのは、平成24年7月15日発行の第33版です。

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)